◆モノと人が集まる都市、堺。
ユノカ・ソープのある堺市は南蛮貿易で栄えた街で、旧市街には古い家が立ち
並び、刃物、和菓子、伝統工芸などたくさんの職人さんたちが住んでいます。
その旧市街で、明治創業3代にわたり線香をつくり続けている薫主堂のご主人北村欣
三郎さんにいろいろな話を聞かせてもらいました。
◆はじまりの香り
16世紀終わりに中国から伝わった線香の製法は、貿易港だった堺に材料の香木が集まることから盛んになり、線香作りの技術が広がっていったそうです。
◆手は伝える。
近年機械化の進む中、薫主堂の線香作りは昔ながらの手仕事です。
香料(白檀、
沈香、丁子、桂皮など)とタブ粉(タブの木の樹皮を粉末にしたもの)を水で練
り円筒形のダンゴにします。押出機につめて、麺状に押し出されたものを板に
並べ長さをそろえ、乾燥板に並べ乾燥させます。
自然乾燥で春だと4日間、こ
の作業を繰り返しながら一本一本の線香を作っていきます。
昔は大勢の職人さんをかかえ分業でやっていたそうですが、今はご夫婦だけで
すべての工程をしています。
「昔はわたしら親方は香りの調合を考え、それを
職人さんに渡し作っていたんですわ。
でも、需要が見込めないなか製造を小さ
くするために、39歳くらいから職人さんの作業を覚えました。」とご主人。
私は、作業の繊細さと根気が必要とされる精神力に驚いてしまいました。
それ
でもご主人は「機械で作られた線香はロスも多くもったいない。それに鉛筆み
たいにまっすぐな線香は、味わいがなくて製品という感じがするんですわ。」
長さをそろえるときに切り落とされた線香は破棄せず、押出機で線香に再生し
たりと、手仕事だからこその丁寧な作業です。
残念なことにご主人の後継者は
いないそうで、この線香作りの手仕事もいずれ堺から消えてしまうかもしれま
せん。
「最近は若い人も興味を持ってくださるんですよ。」と主にお店を守って
いる奥様が話してくれました。
「これは主人の自信作なんです。」とお勧めの
線香をいつくか購入し、薫主堂を後にしました。
後日、家で購入した線香をたくと、上質で高貴な香りが広がり始めました。ひ
とつひとつ、目にかけ、手にかけ、作った手職のこだわりは線香が消えた後も
部屋に漂っていたのです。
◆薫主堂さんサイト : http://www.kunsyudou.jp/
住所 大阪府堺市堺区北半町西2-1
電話番号 072-232-2549
アクセス 阪堺電車「高須神社」、
南海本線「七道駅」 徒歩5分
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